これまで、Pythonなどのコードと実行結果、そして式や図などを1つのドキュメントで管理できるJupyter Notebookが多く利用されていますが、Jupyter Notebookの後継(?)としてJupyter Labが公開されています。
基本的にはJupyter Notebookと同じような機能を備えていますが、タブ機能の追加や、編集操作の改善など、Jupyter Notebookよりも進化しています。
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Jupyter Labの導入方法
Jupyter Labの導入方法は、ドキュメントのInstallationページで説明してありますが、基本的にはjupyterlabのパッケージをインストールするだけの簡単な操作で完了します。
動作環境もシビアではないので、今のところWindowsでもMacでも問題なく動作しています。
rem Anacondaを使う場合 > conda install jupyterlab rem pipを使う場合 > pip install jupyterlab
これでJupyter Labの導入は完了です。簡単ですね。
2019/03/12追記
Anacondaではなく純粋なPythonを利用している場合、pip経由でJupyter Labをインストール可能ですが、依存パッケージのtornadoのバージョンが6.0以上になるとJupyter Lab上でコードが実行出来ない場合があります。
この場合は、Jupyter Labをインストールする前に、pip install tornado==5.1.1
として、正しく動作するバージョンのtornadoを導入してください。(Jupyter Labをインストールした後なら、tornadoを削除した後、再度インストールしてください)
2019/04/13追記
2019/04/13時点でtornadoの問題は解消されているようです。そのため、通常通りpip install jupyterlab
だけで、Jupyter Labが利用できるようになります。
なお、現時点でのパッケージバージョンは、jupyterlab 0.35.4、tornado 6.0.2になります。
Jupyter Labのドキュメントでは、コミュニティを中心としたconda-forgeからパッケージを取得するような手順になっています。(conda install -c conda-forge jupyterlab
)
しかし、私の環境ではconda-forgeから取得すると、いくつかの依存パッケージがダウングレードされるようなので、ここではデフォルトのチャンネルからjupyterlabを取得しています。なお、2019/1/2時点で、conda-forgeとデフォルトのチャンネルから取得できるjupyterlabのバージョンは以下のようになります。
- jupyterlab 0.35.4(conda-forge)
- jupyterlab 0.35.3(デフォルト)
Jupyter Labの起動
Jupyter Labは以下のコマンドで起動できます。
> jupyter lab
これでサーバが起動し、Jupyter Labのページがブラウザに表示されます。もし、自動でブラウザが起動しない場合は http://localhost:8888/lab に手動でアクセスしてください。
なお、既にポート番号8888が利用されている場合は、8889~というように自動でポート番号が変更されるため、実際にJupyter Labが利用するポート番号でアクセスするようにしてください。
Jupyter Labを普通に起動すると、コンソールはJupyter Labを終了するまで利用できなくなります。Jupyter Lab起動中もコンソールを利用したい場合は、以下のようにJupyter Labをバックグラウンドで起動してください。
# Mac/Linux $ jupyter lab & # Windows > start /b jupyter lab
Jupyter Lab起動用のショートカット作成(Windows)
Jupyter Labを頻繁に利用する場合、「Anacondaのプロンプトを開いて、conda activateで仮想環境を切り替え、jupyter labで起動…」という手順を毎回行うのは少し面倒です。
Windowsのショートカットに以下のコマンドを登録しておくと、簡単にJupyter Labを起動できるようになります。(少しコマンドが長くなりますが、全て1行で入力します)
C:\Users\Kurozumi\Anaconda3\python.exe C:\Users\Kurozumi\Anaconda3\cwp.py C:\Users\Kurozumi\Anaconda3 C:\Users\Kurozumi\Anaconda3\envs\keras\python.exe C:\Users\Kurozumi\Anaconda3\envs\keras\Scripts\jupyter-lab-script.py "W:\JupyterLab"
上のコマンドは、Anacondaのパスが C:\Users\Kurozumi\Anaconda3
、利用する仮想環境名はkeras
で実際のパスはC:\Users\Kurozumi\Anaconda3\envs\keras
、Jupyter Labで利用したいフォルダは W:\JupyterLab
の想定です。環境に合わせて読み替えてください。
Jupyter Labの終了方法
Jupyter Labを終了するには、ブラウザのJupyter Labのメニューから File> Quit を選択します。確認ダイアログが表示されるので、Quitを選択するとJupyter Labが終了します。
Jupyter Labのトラブルシューティング
Jupyter Labを使っていく中で遭遇したトラブルと、その対応を載せておきます。
Jupyter Lab上でコードが実行出来ない
上の注意点にも記載していますが、2019/3/12の時点では、依存パッケージtornadoのバージョンが6.0以上になると、Jupyter Lab上でコードが実行出来なくなります。
Jupyter Labをインストールする前に、pip install tornado==5.1.1
として正しく動作するバージョンのtornadoを先にインストールすれば解決します。もし、Jupyter Labをインストールした後であれば、pip uninstall tornado
でtornadoを削除して、Ver5.1.1のtornadoを再インストールしてください。
2019/04/13時点では、この問題は解消しているようです。
Jupyter Labで空白のページが表示される
Jupyter Labを起動すると自動でブラウザが開きますが、ある日を境に、ブラウザでは真っ白なページしか表示されない…という事象が発生しました。(それまでは普通に使えていた)
Favicon(ブラウザ上に表示されるアイコン)やページのタイトルは表示されていたので、Consoleを確認したところ「Refused to execute script ~ because its MIME type (‘text/plain’) is not executable」というエラーが発生していました。
この内容についてはJupyter LabのIssuesにも載っていて、PCのレジストリを修正すれば動作するようになります。
レジストリエディタを起動(ファイル名を指定して実行でregedit
と入力して実行)して、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\.js
を開きます。このとき、Content Type
がtext/plain
などになっていると、先ほどのエラーが発生します。
Content Typeをダブルクリックして、値をapplication/javascript
に変更してOKボタンをクリックします。
これで、.jsのContent Typeがapplication/javascript
になりました。
Jupyter Labを再起動して、Ctrl+F5でキャッシュを更新すると正しくJupyter Labのページが表示されるようになると思います。